社内報「ものづくり頂上会議」から:愛ですね。愛。「ずっと遊んでもらうものをお客さまのためにつくる」ために必要なこと

久しぶりの投稿になります。広報の入山です。最近、新しい広報メンバーの石川と山田ががんばってくれていて、会社の「今」をお届けしているのであまり出番がありませんw。なにか良い企画はないものかと考え、今回はグリーの社内報(イントラネット版)企画から一部を厳選してご紹介したいと思います。

今回ご紹介するのは社内でも人気の企画である「ものづくり頂上会議」から。代表の田中自身が、楽天の社員だった時代にSNS「GREE」を自らプログラミングし、1ピクセルにこだわり抜くクリエイター気質。私も何度ダメ出しをされたか数知れずです(苦笑。

そんな田中と、社内のクリエイターがグリーの「ものづくり」について語るこの「ものづくり頂上会議」ですが、今回は2016年の初めに行われた、X Production部長で執行役員の井坂、消滅都市リードゲームデザイナーの下田、NT Production副部長の今井との対談風景をお届けします。

参加クリエイターの紹介

井坂 友之

井坂 友之

2007年グリー入社。広告、編成、芸能、Platformを担当し、プランナーとしてソーシャルゲーム開発の道へ。その後、国内外でプロデューサーや経営者として新規ゲーム開発を行う。現在は執行役員、X Production部長。

下田 翔大

下田 翔大

2012年グリー入社。『消滅都市』などを手がけるリードゲームデザイナー。

​今井 仁

​今井 仁

2012年グリー入社。アート部門マネージャー、シニアマネージャーとして、国内スタジオのWeb、Nativeゲームタイトルの運用、新規開発を担当し、現在はNT Production副部長。

なぜ「ものづくり頂上会議」を始めたのか

田中

田中

この「ものづくり頂上会議」という企画は、「製品開発を通じた自己表現をしていないと死んでしまうような人たち」に向けたものです。僕は、製品開発とは「こういうものをつくるんだ!」と強く思う人がリードしながら、みんなでそれを具現化しようとする取り組みだと考えています。ゲームは特にそうですね。みんなの意見を足して割っても絶対に良いものづくりはできません。

この企画をやろうと思ったきっかけは、クリエイター2人のFacebook投稿を見てからなんです。二人に共通していると思ったのは、「人の心を震わせる」とか「一瞬でも心に何か残したい」ということに人生を賭けているということなんです。大抵のクリエイターはそう言いますけど、本当の意味で「クリエイター」レベルで実際やれる人って少ないと思うんですよ。

井坂

井坂

僕は社歴が長いので、田中さんが直接ものづくりしてた時代をよく知ってます。ピクセルにこだわる田中さんの話も有名ですが、僕は色の話をする田中さんの記憶があります。田中さんは、「このサービスなら、この色はもうちょっと明るくないとおかしくない?」みたいなことを話してました。あらゆる角度から徹底的にものづくりを熱く語っていて、やっぱりそういう熱量の高い人がどんどん増えていくと、グリーがさらに良い感じのものづくり集団になるんだろうと思います。

人を感動させる「最高」に​​どれだけこだわれるか

下田

下田

当時の井坂さんは、田中さんの話を聞いてどういう反応だったんですか?

井坂

井坂

 「このタイミングで何言ってんだよ田中さん」って思いながら……。あんまり言うことを聞いてなかったと思います。若かったですね。すみませんでした(笑)。今なら田中さんは本質的に色の話がしたかったわけじゃなくて、ちゃんとサービスのことを徹底的に考えてるのかっていう意味で言ってたんだなと理解できます。​

下田

下田

自分も、「スケジュール上できないことは分かっているけど、仮に時間があったとしたらこうしたいと思っている」と伝えることは、常に意識していますね。

「今回は仕方な​いかもしれないし、やらない決断をしたこと自体は正しいけれど、でも時間があれば、こうしたほうがよかったと思ってる」とか、「次の機会に生かすために、最高の形は別にあるってことを知っておいてほしい」みたいな。​

田中

田中

やっぱりビジネスなんで納期もあるし、現実的じゃないことを無理にやっても仕方ないです。でも、それとは別次元の話として、「最高の形はこれなんだ」って主張は、せざるを得ない。ちょっと他社の話になっちゃいますけど、日本の自動車メーカーってバンパーの裏も磨いているらしいんですよ。

井坂

井坂

見えないところですよね?

田中

田中

そうそう。合理性という観点だけで見れば過剰品質と取られる話なんですが、ものづくりという観点では、合理的じゃない部分が大切だと思ってるんです。「人を感動させることにどれだけ興味を持てるか」という話で、興味を持てること自体が重要な素質です。普通は、バンパーの裏なんて興味ないじゃないですか(笑)。

「クリエイター」の素質とは何か

「何のためにつくってんの?」を問い続ける​

田中

田中

小学生のとき読んだ『ファミ通』のことを思い出したんですけど、そこで『ドラクエ』をつくってる人たちが、メニューウィンドウが開いたり閉じたりするときの動きについて熱弁してたんですよ。

僕は「開き方の速度で気持ち良さが違うとか本当か?」と思って『FF』と比べてみたんですが、全然違うんです。小学生ながら、「そんなこと真剣に考えている人たちが世の中にいたんだ」と衝撃を受けましたね。

​今井 仁

​今井

​『ドラクエ』って「Ⅷ」ぐらいまで、「Ⅰ」とか「Ⅱ」とかと同じタイミングでウィンドウを表示させていたそうですよ。「お客さまのドラクエシリーズに対する体験を変えないでおこう」って考えが脈々と受け継がれてるんですよね。それにしても、よく小学生の頃の『ファミ通』を覚えてましたね。

田中

田中

衝撃的でしたよ。ウィンドウの開き方について熱く語ってる人がいるんですよ。そういうことに興味を持てるって後から育つものじゃないから、素質だと思うんですよね。

例えば「MacBook Air」と「MacBook Pro」を比較して、角の丸みとか角度とか微妙なところを「こんなに違うんだよ!」って熱く語る人がいる。普通の人からすれば、「そこかよ!」みたいな話ですよね。でも、よくないのはそういう人たちの言動をバカにして、「そんなことに興味を持っても意味ないよ」って大事な芽を摘んじゃうことです。

井坂

井坂

今の僕の立場としては、そういう素質を良しとする思想をどうやって伝播させていこうかと考えています。徹底的に考え抜いて、熱く語れて、バンパーの話じゃないですけど、なんで裏側磨くのか誰にもわからないけれども磨きたくてしょうがないみたいな、そういう人たちをうまく集めてものづくりしていけるようにしたいですね。

田中

田中

一つ気を付けなければいけないことがあって、自分のつくっている製品がどれくらいの人にどう使われるのかってことをイメージしながらつくれるということも大事です。

10年くらい前に見た記事の話なんですけど、中国かどこかの山奥を掘ってたら何千年も前に人が生活していた洞くつを発見したそうなんですね。探検隊が中に入ったら壁画が残っててすごく美しかったという話なんですけど、それを読みながら、「何千年後に見てもらえてもね」と思ったんです。

​今井 仁

​今井

それ本当に大事ですね。前職では、下田さんもそうですけど、本当にものづくりにこだわる人がたくさんいて、一つ一つの品質がすごく良いんです。でも、自分がプロデューサーとしてそういう人を集めてチームをつくったとき、プロダクトが完成しなくて、リリースできないということがありました。そこで初めて、「自分はものづくりが好きだけど、ものを売るってことについてあまり考えてなかったんだ」と痛感しましたね。

それで社内の営業の人たちに自分たちがつくったゲームを理解してもらうところから始めようと思って、プレイ会をやったり、営業に同行したりしました。自分たちがつくったものをどう広めるかってことに初めてチャレンジしたとき、違う道が見えた気がしました。

下田

下田

大事ですよね。それ、澤さん(「消滅都市」初代プロデューサー)がめっちゃ得意なんですよ。成功するために社内をどんどん巻き込んでいったり、口説き落として手伝ってもらったり。

田中

田中

結局のところ、「何のためにつくってんの?」って話で。さっきの壁画とか永遠に見つからなかったかもしれないわけじゃないですか。「つくってそれで満足」でもいいんですけど、でも僕はやっぱり、「多くの人に喜んでもらいたい」とか、「影響を与えたい」と思ってものづくりをしてるんですよ。

興味を持てる素質があっても、一歩間違うと、「つくりたいものがつくれればいい」とか、「使ってくれるか、見てくれるかは知らない」みたいな人も出てくる。それでもヒットを出せる超天才的な人はいるんですけど、ほとんどの人は、「今みんなが何を求めてるんだろう?」とか、「みんなに喜んでほしいから、これをつくるんだ」って考えて微調整していかないと良いものをつくれない。だから、「何のためにつくってんの?」ってことは何度も自分に問いかけないといけないですね。

刺激を受けると表現したくなるクリエイター病​

田中

田中

前出のFacebookコメントを読んで僕が「いいな」と思ったのは、「使うより作る方が楽しい」と思ってることなんですよね。よく荒木君(取締役 執行役員 Wright Flyer Studios担当)と、「インプットだけだと何も生み出してない自分を感じてしまって、それが嫌だ」という話をします。

そういう、「何かを表現することがすごく面白い」って非常にマニアックな考え方なんです。グリーの中では「普通じゃない?」と共感してくれる人がいると思いますけど、高校とか大学の友だちとかにこの話をしても、共感ゼロみたいな感じです。

下田

下田

世の中には「女の子を口説くことに命を燃やしてる人」がいるじゃないですか。そういう人に出会うと、「すごいな」「俺にはできないな」と思うんですが、男性が女性に対して興味を持つように、自分はコンテンツに対して興味を持ってしまう性癖を持っているんだと思います。

コンテンツをインプットして、それを分析することがゲームみたいなものなんですよね。映画を見て感動したら、「なんで感動したんだろう」と因数分解して、「この要素と、この要素が組み合わさったから感動したんだな。じゃあ『消滅都市』でこうやってみたらどうかな」とか、「これとこれを組み合わせたら……。だめだった」みたいに確かめながらものづくりをするのが面白いんですよ。

田中

田中

それ、コンテンツを純粋に楽しめないというか、「俺だったらこうする」みたいに思っちゃうのがすごく重要な感性だなと思いますね。これは良い表現だなと満足して終わっちゃうんじゃなくて、刺激を受けて自分も表現したくなっちゃう感じ。

井坂

井坂

職業病かもしれないですね(笑)。オンとオフの境目が無くて、遊んでるんだけど、急に自分ならどうつくるかを真面目に考えちゃってる。例えば「Path​」ってSNSアプリがあってUIがめっちゃ気持ちいいんですよ。ボタンをタップした時にメニューとかシュシュッと出てくるのがすごく気持ち良くて。休日に遊びながら、「ゲームのUIでこれやったら気持ちいいんだろうな」とか昔考えてました。

田中

田中

ものづくりに関して熱く語れる精神性を持ってる人を増やしていかないとだめだなって思いますね。話したいだけじゃなくて、寝る間を惜し​んでも実装したくなるんですよ。そういう人が自分の身近にいたら、多少言動が変でも、そんなことに興味持てること自体がすごいなと思いますね。

サービスを愛する

下田

下田

田中さんに聞きたかったことがあって。グリーロゴって変えようと思ったことないんですか?

田中

田中

 ​変えようと思ったことが無いわけではないんですけど、例えばソニーのロゴって基本的な形は変わらないけど、フォントの厚みが変わってるんですね。モダンさって時代ごとに違うから、微調整するのはあるなと思ってます。

ただ、それでもグリーロゴはシンプル過ぎて、厚みをちょっと変えただけで直線美みたいな何かが失われちゃうんで難しいなって。変えようと思ったら大胆に変えないといけないですね。絶対に変えないって強烈な意思があるわけじゃないよ(笑)。​

下田

下田

 ​なるほど。モノ自体が変わらなくても、エピソードが付加されることでカッコ良さが変わるとかありますよね。日本の神話とか、リンカーン大統領の話とか。ちょっとした小話みたいな。

『消滅都市』で言うと、コードネームの「Athena」って名前はコンフル(社内情報共有システム)で探しやすくするように頭文字が「A」の名前を選んだとか。ちょっとしたことなんですけど、知ってる仲間たちみたいなつながりができるなと思います。

田中

田中

​そうですね。「GREE」という名前も「Six Degrees of Separation(六次の隔たり)」という話からきていて、それを知らずに初めて聞いた人は「へぇー」と感心して、ロゴを違った視点で見るようになるのはありますね。

下田

下田

『消滅都市』のタクヤとユキの名前ってジュディマリの二人から取っていて、それが二人の関係性を象徴している、とか。

井坂

井坂

あー、そういうことだったんだ! 初めて知った(笑)。

​今井 仁

​今井

 最近、『消滅都市』に関わっているアニメーターの良いエピソードがあって。彼は部のマネージャーも兼務してるんですね。以前はマネジメントに注力したいって話をされていたので、そういう仕事の振り方にしようと思ってたら、彼から相談があると。

「すみません、今井さん。『消滅都市』に愛着が湧いちゃったんで、ずっと『消滅』やりたいです」って言われて。

愛着を持てるプロダクトがあるってすごく良いことだなと思うんです。そういうのがグリーのクリエイターたちにもっと広まるといいなと思っています。​

井坂

井坂

愛ですね。愛。「これからもずっと遊んでもらうものをお客さまのためにつくる」っていうことがすごく大事なので。

田中

田中

そうそうそう。まさに僕が「GREE」をつくったときがそうです。ユーザーがどれだけいても、サービス自体が無くなってしまえば意味がないので、持続的に使ってもらえるサービスが良いサービスの前提条件ですね。

そのためにも、お客さまに喜んでもらって、お金を頂いて、それでものづくりが続けられる仕組みをしっかり作っていきたいですね。

 

以上

いかがでしたでしょうか。グリーの考える「ものづくり」、ゲームやサービス開発への思いが伝わったでしょうか。今後も不定期ですがイントラネット版社内報で取り上げた企画を紹介させていただきます。お楽しみに!

 

■ 「消滅都市2」公式サイト

■お問い合わせ先
グリー株式会社 広報担当
東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー
E-mail: jp-pr@gree.net

Author: shinichi iriyama